第87章 これが神と彼女の違いなのか

「でも、こんなにたくさん……私ひとりじゃ食べきれないよ。残したらもったいないし……」

高野咲子はしょんぼりした。推しに、母の手料理を食べさせてあげたかったのだ。

長谷川栞は聞こえなかったふりをする。実際、彼女ももうお腹はいっぱいだった。中野航平が差し入れてくれた料理は、量がなかなか多い。

菊地瑠奈はたぶん外で食事を済ませたのだろう。オフィスには誰もいない。

長谷川栞は一度ぐるりと見回ってから自分のオフィスへ戻った。ボードの上には、色塗りまで終えた絵が何枚か並んでいる。

色の差がくっきりしていて、ぱっと見ただけで目を引く。思わず、じっと見入ってしまうタイプだ。

長谷川栞は一枚ずつ確...

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